有形文化財 

所在地/むつみ村大字高佐上231番地
千手千眼観世音菩薩像 中央大迫の観音堂に、木喰五行上人が寛政10年(1798年)81才の時、福栄村福井の願行寺に滞在中に作ったものと思われる高さ67cmの木彫の仏像がある。どうして現在地に祀られたか不明であるが、今でも毎年8月には盆踊りが盛大に行われている。



 木喰五行上人は明満ともいい、江戸時代の真言宗の僧で、享保3年(1718年)甲斐国西八代郡古関村丸畑(山梨県下部町)伊藤六右衛門の二男として生まれ、享保16年14才で江戸に出る。元文4年22才で出家、宝暦12年(1762年)45才のとき
※「木喰戒」を受けて、生涯その戒を守った。安永2年(1773年)56才以後日本回国行脚に旅立ち、没年(1810年 93才)までに、1,000体以上の木彫仏を各地に残している。

県下でも52体の彫像が確認されており、木の表から丸く彫って、木目を生かし一本の木から掘り出しているのが特長である。本像は、ペンキで着色したり多少手を加えているのが惜しまれる。径30cm円形の光背の裏に次のように墨書銘がある。

  心願日本千躰ノ内寛政十午正月廿二日ニ成就ス
  国王国中
  南無千手千眼観世音大士
  父母安楽                    日州児湯郡府中、五智山国分寺インキョ事
                           天一自存法門木喰五行菩薩八十一歳(花押)
 
※木喰戒とは
 五穀(米、麦、粟、黍、豆)を断ち、さらに火食断ち(煮たり、焼いたりの調理を断つ)をする場合もある。木の実や草などを食べて修行すること。